CRO/SMO
医薬品業界では今、治験関連業務が注目されています。
その理由は、新薬承認の規制緩和で承認までのスピードが格段に速くなり、
薬品業界での競争がますます激しくなってきていることが背景にあります。
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目立つ治験関連業務企業の台頭
新薬を世に送り出すためには、9〜17年の歳月と200億〜300億円の費用がかかるとされています(平成15年厚生労働白書)。しかも、基礎研究で選別された候補物質が、実際に市場に出る確率は6000分の1とも1万分の1ともいわれています。確かに、製薬は高付加価値、高収益の産業に属しますが、開発費の投入からその回収までのタイムラグがきわめて大きいことも特徴です。
新薬開発プロセスの中に治験があります。治験はGCP(医薬品の臨床試験の実施の基準)という世界共通の基準に沿って行われますが、日本では治験を実施する際の基準として、1989年10月に厚生省薬務局長通知による行政指導として旧GCPが実施され、その後一層厳格な「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」(新GCP)が1998年4月に施行されました。これにより、書類の整備・管理が煩雑となり、治験を実施する医療機関での手続きも複雑で、医薬品メーカーの業務が多くなりました。
そこで、医薬品メーカーの国際的な競争が激しい昨今、人員や時間面を考慮して、治験関連業務を外部に委託し、効率化しようとする動きが強まってきました。治験業務は、主に新規医薬品の開発状況に依存するため、その必要性には波があり、企業にとってはそのための人材を恒常的に確保しておくことは非効率的といえます。また、膨大な時間も要するため、必要なときに治験関連業務を外部に委託することは、医薬品メーカーにとって経済的にも大きな助けとなります。
治験関連業務を支援する企業は、医薬品を直接販売するわけではないので、医療機関との連携もしやすく、治験を通してその関係を強化することで、治験に関する専門的なノウハウも蓄積されていきました。その結果、治験関連業務を支援する企業の台頭が目立ってくることとなりました。

CROは治験関連業務を代行する企業
CROとは英語のContract Research Organizationの略語。医薬品開発業務受託機関(企業)を意味します。欧米で1970年代から現れた業態で、日本では1997年に法的な位置付けを与えられました。医薬品メーカーの治験関連業務を代行する機関で、具体的には、製薬会社や医療用具会社の製品開発業務の一部として、治験の企画、治験の依頼した医療機関の進行状況調査と確認を行うモニタリング、データの集計および解析、さらには承認申請資料の作成や市販ご調査のフォローまでを受託します。開発戦略のコンサルティング、薬事コンサルティング、教育研修支援などもCROが扱う業務です。日本CRO協会によれば2007年2月時点の会員企業数は39社、総売上高は2006年度は831億4,400万円でした。 |
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医療機関の立場で治験をサポートするSMO
CROは製薬メーカーが行うことを代行する企業ですが、SMOは治験業務を行う医療機関側をサポートします。Site Management Organizationの略で、治験施設支援機関という意味です。SMOは特定の医療機関と契約し、その施設に限り治験業務をサポートします。
治験はGCPという、世界共通の基準に沿って行われますが、書類の整備・管理が煩雑です。その煩雑かつ膨大な作業を、医師や看護師が日常の診療の間に行うのは不可能に近い為、それをサポートするために、SMOが活用されます。
また、治験に参加・協力してもらう患者に、事前のインフォームドコンセントや同意説明などしなければいけません。そのために、看護または薬剤の知識を持った専用のスタッフ治験コーディネーター(Clinical Research Coordinator)(略して、CRC)をSMOが治験実施施設に派遣します。(業務受託という契約形態をとる場合もあります)
日本SMO協会(現在約50数社が参加登録)では治験関連実務レベルの引き上げやCRC教育などに取り組んでいますが、企業各社をみると、支援業務の質や契約内容の格差などもまだまだ目立つのが現状であり、この解消が急務となっています。
CROとSMOの役割と主な業務
治験の円滑な実施かつ倫理的にも科学的にも信頼できる臨床データを取得するには、治験実施中、常にCROとSMOは、互いに連携を取りながら業務を実施していかなければなりません。
CROの業務およびSMOの支援業務は、主に以下に示したとおりです。(日本CRO協会HPより)
CROとSMOの独立性
2002年11月に厚生労働省から発表された「SMOの利用に関する標準指針策定検討会」報告書で、SMOとCROは「相互に独立性を確保すべき立場である」とされました。
治験依頼者又はCROは「治験の依頼・管理」、実施医療機関又はSMOは「治験の実施」というお互いに異なる立場にあり、CROとSMOは、それぞれ立場の異なるSOP(標準作業手順書)に準じて治験を実施しなければなりません。独立性確保で重要なことは両者の「なれあい」があってはならないということです。GCP施行の大目的は、治験依頼者側と治験実施医療機関の「なれあい」から起こった臨床データの信頼性の失墜を回復し、さらに品質を高めることであり、治験依頼者又はCRO、実施医療機関又はSMOは、このことを常に肝に銘じておかなければなりません。
日本におけるCRO業務の歴史はまだそれほど長くはないですが、CRO業務から発展的にSMO事業を立ち上げる企業もでてきました。CROとSMOの「なれあい」を疑われる可能性があるためCROを母体とする多くのSMO企業が、経営幹部を親会社と重複させないように交代させました。また、CROと同一企業である場合は、別会社化あるいは独立組織とするといった措置を行っています。
CRO・SMOの将来展望
優れた新薬をいかに早く市場に出すかに医薬品メーカーはしのぎを削っています。重要なステップである治験のスピードアップや質の向上につながる治験関連ビジネスへのニーズは高まっています。厚生労働省も治験活性化策の柱の一つとして「CRO、SMOの育成」を打ち出し、治験関連ビジネスの育成に向けた環境整備に動いています。ただ順風ばかりではありません。日本でのGCPの厳格化などの影響で海外での治験を先行させる企業の増加やCROやSMOを利用する際のコスト高を指摘する声もあります。また提供するサービスに対する製薬メーカーの期待値や要求度は確実に上ってくることも予測され、CROやSMO側は、自らの質の向上に努め、他社との差別化を図っていく必要があるといえます。
CRO・SMOにかかわる職種
1、モニター(CRA)
医療機関への実施依頼や契約手続き
2、データマネジメント
統計解析に利用できる形にデータベース化
3、治験コーディネーター(CRC)
医療機関で治験の進行をサポート
