ドラッグストア

現在、薬剤師の採用意欲が非常に高い業種の一つが、ドラッグストア業界です。
速いペースでの出店競争が全国各地で繰り広げられており、
医療用医薬品の調剤カウンターを併設するケースが増えています。


強い人気のドラッグストア

 ドラッグストアは医薬品や化粧品、日用家庭用品や文房具、食料品などの日用雑貨を販売する小売業です。一般用医薬品の販売規制が早くから緩和されたアメリカなどでは一般的な事業形態でしたが、日本でもすっかり定着し、ここ10年あまりで昔ながらの個人経営の薬局にとって代わり、ひとつのカルチャー、業態を確立しました。2007年6月の時点で日本チェーンドラッグストア協会加盟企業の店舗数は、1万2,619店、加盟企業の総売上高は3兆7,055億円にも達しています。明るく広い店舗に健康グッズやサプリメントなどの商品が品揃え豊富に並べられ、自由に手にとって選べる開架方式、ディスカウントの姿勢も受け、特に若い世代の人気を集めています。また、近年の健康ブームにのり、その中核となっている健康食品(サプリメント)は、今ドラッグストアなどの薬系小売店で取り扱いが急増しています。


セルフメデュケーションの普及と「かかりつけ薬局」

 セルフメデュケーションとは、日頃から健康を管理して病気予防に努めることを基本に、軽い病気は医療施設にて受診せず、OTC薬品を利用して自分で治そうとする考え方です。
 ドラッグストアの本家アメリカは、世界でもっとも進んだ医療施設をもち、医療スタッフも世界最高水準にあるといわれています。しかし、同時に医療費も信じられないほど高額です。健康保険料金を保険会社が支払うために保険料金も高額となり、そのため未加入者が多数います(国民の7人に1人)。その様な場合、盲腸の手術に100〜150万円、歯の治療では車1台分、大きな病気をすると現在の職を失い、老後の生活ができなくなるほどです(アメリカで破産した人のおよそ半数が、医療費の高騰が原因といわれています)。大半の方が『病気になってから治療代金を支払うよりも、日頃から健康を管理して病気予防に努めるほうがはるかに経済的』ということを認識しています。そのため、一般の人は通常、病院へ行く前にまずドラッグストアへ行きます。ドラッグストアで、ケガや病気について相談をまず行うのです。
 日本においても、急速に進む高齢化社会と高度な医療技術がもたらす高額な医療費の影響で、保険制度の改正が行われ、年々高い医療費を支払うようになるのは確実とされています。さらに薬害をはじめとする様々な医療問題が浮き彫りにされることもあってか、急速にセルフメデュケーションが普及しつつあります。
 そんな時、一番頼りになるのが、相談窓口としての「かかりつけ薬局」の薬剤師です。


かかりつけ薬局の機能

 複数の病気にかかり、それぞれ異なる医療施設に受診する場合、処方される薬の種類は多数に及びます。医薬分業が進展すれば、自分の「かかりつけ薬局」でまとめて薬を受け取ればよく、相互作用の不安は薬剤師が解消してくれますので、安心して薬を飲むことができます。
 また、医療費削減の一環として、厚生労働省はスイッチOTCを推進しています。スイッチOTCとは、これまでは医師による診察が処方に必要で、医療機関を受診しなければ手に入らなかった医療用医薬品を、一般薬に切り替え(スイッチ)、薬局や薬店で買えるようになったものです。
 こういった動きに伴い、ドラッグストアでは「かかりつけ薬局」としての機能強化を進めるため、日々努力しています。もともと都市型のドラッグストアは、駅近くの立地条件の良い一角に店舗を構えていたり、住宅地に立地するので、患者さんにとっても利用しやすい条件がそろっています。また、量販部門に調剤部門を併設する動きが定着し、調剤を併設するドラッグストアが増加してきました。
 薬局としてのドラッグストア本来の強みを高め、地域に根付いた「かかりつけ薬局」に成れるか否かが、今後の競争を優位にする要素となります。


業務提携やM&Aによるメガ再編が進行中

 ドラッグストアの幅広い商品展開は、コンビニやホームセンターと競合する面もあり、ドラッグストア各社は新規出店を加速することで成長を続けてきました。しかし、競争激化もそれに伴い、価格競争の様相を呈し始め、そのための切り札として、2000年以降、業務提携やM&Aによるメガ再編の動きが急浮上してきました。一括大量仕入れによるコストの削減や商品の共同開発等のスケールメリットを求め、大手や地方中堅ドラッグストアが業務・資本提携や、合併することによってグループ(ナショナルドラッグチェーン)を形成しはじめたのです。
 しかし、大手各社の大量出店により、瞬く間に市場は飽和し、各グループ内では当初棲み分けていた出店エリアが重複し始めました。また、共同物流などのグループ施策は中心企業に有利なもので、他の参加企業へ利益をもたらすものではありませんでした。その結果、グループ脱退や新グループ形成が現在も盛んに行われています。


主なナショナルドラッグチェーン

 ナショナルドラッグチェーン再編には二つの大きな核があります。一つはスーパー大手のイオンが主導する「イオン・ウェルシア・ストアーズ」のグループ。もう一つは業界最大手のマツモトキヨシが主導する「マツモトキヨシ」グループ。このほかにも、セガミメディックス、コクミン、セイジョーなどによる「WIN」グループ。富士薬品が中心の「富士薬品」グループ。カワチ薬品、サンドラッグによる「カワチ・サンドラッグ連合」。ライフォートなどによる「十社会」グループ。など、生き残りをかけた合従連衡の動きが活発化しています。




今後の展望は?

 薬事法の改正(「登録販売者」制度(2009年から実施)など)や消費者の動向により、ドラッグストア業界およびその周辺の競争が激しさを増しています。
 今までは大量出店によって売上倍増を果たしてきたドラッグストア業界ですが、その内実は決して手放しで喜べるものではありません。ある業界関係者は、「新規出店によって売り上げを伸ばしてはいるが、既存店では販売単価の下落や競合激化によって落ち込んでいるところが多い」と指摘します。
 ドラッグストアの成長を維持するには、一つは経営規模の拡大であり、もう一つは調剤薬局としての機能強化が挙げられます。医薬分業が進み、セルフメディケーションが促進される中で、ドラッグストアが地域の薬局として根付いていくためには、薬剤師によるカウンセリング機能や顧客の薬歴管理が必要不可欠なためです。ドラッグストア・チェーンは顧客データベースのネットワーク化が容易であり、今後の医薬品産業を支える流通システムの大きな柱となることが期待されています。


ドラッグストアにかかわる職種
1、調剤兼OTC薬剤師
調剤の知識とOTCの知識を併せ持つ薬剤師

2、OTC薬剤師
薬に対する知識だけでなく、接客能力や、店舗運営能力も必要


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