めでぃしーんねっと2018

病院 1

病院の種類とさまざまな機能・役割

医療機関は「病院」と「診療所」に大別されます。これらの医療機関で薬剤師として働くことを志望する人たちも多いことでしょう。
では、この病院や診療所は、具体的にどのような機能と役割を果たしているのでしょうか。

病院とは

ベッド数が20床以上の医療機関で、検査や入院などの医療設備を所有し、診療所では対応しきれない患者の受け入れや必要な検査・治療・手術などを行うことが大きな特徴です。そして、これまでに病院は医療の進歩や環境の変化、医療法の改正とともに変貌・再編の道をたどってきました。
1993年の医療法第二次改正では“機能による病院の体系化”を目的に、新たに「特定機能病院」と「療養型病床群」が追加。1997年の第三次改正では、地域医療の機能分担と連携を図るために「地域医療支援病院」を新設。さらに、2000年の第四次改正では病床区分が見直され、治療を目的とする「一般病床」と療養を目的とする「療養病床」が新たに追加分類されました。
また、2004年には、国立病院が独立行政法人 国立病院機構へと運営を移管しています。

診療所とは

ベッド数が19床以下の医療機関で、「○○クリニック」や「○○医院」と名乗っているところも含まれます。
大半の診療所は1次医療(初期診療)の役割を担い、風邪や腹痛など日常的な病気の外来診療を中心に行っています。

種類別病院

独立行政法人 国立病院機構
国立病院が医療サービスの向上や効率的な運営を実現するため、2004年から独立行政法人 国立病院機構へ運営を移管。がん、感染症など国をあげて取り組む分野や不採算で民間の体制が不十分な分野を担い、現在は日本全国に143の医療施設(病床数約5万5,000床、職員数約6万人)のほか、看護学校、助産学校などの付属施設を有します。
特定機能病院 大学病院
ベッド数400床以上を有し、厚生労働大臣の認可のもと、一般の病院などから紹介された高度先進医療行為を必要とする患者に対応する病院。一般の病院としての設備に加えて集中治療室、無菌病室、医薬品情報管理室を備え、大学病院の本院や国立の専門センターなどが対象となります。
地域医療支援病院
ベッド数200床以上で、一般病院と特定機能病院の中間に位置し、地域の診療所や中小病院からの紹介患者及び救急患者を主に診療する病院。地域の医療機関との医療機器の共同利用、地域の医療従事者の資質向上のための研修の実施など、地域医療の基幹病院としての役割を担います。
療養病床
急性期の疾患を治療する一般病床に対して、慢性疾患や長期の入院が必要な患者を治療するために設置されたのが「療養病床」で、医療保険の対象になる医療型療養病床と介護保険の対象になる介護型療養病床があります。
介護老人保健施設
65歳以上の要介護認定者で病状が安定し、リハビリテーションに重点を置いた医療ケアと介護が必要な患者が入所する医療介護施設。

病院での薬剤師のポジションと役割

チーム医療と薬剤師

病院でのチーム医療は、医師、看護師、薬剤師などさまざまな職種の医療従事者がそれぞれの分野での専門家として意見を出し合い、緊密に連携していくことで、患者の生命と生活の質(クオリティ・オブ・ライフ)を向上していく医療スタイルです。その中で、薬剤師はとくに近年、より高度な専門知識と技術が求められるようになり、「専門薬剤師」の認定制度も発足するなど、職域が広がっています。

主に、

  • ハイリスク医薬品の適正使用・ハイリスク患者の重点管理の推進
  • 医薬品の副作用・相互作用マネージメントのための臨床検査・薬物血中濃度測定のオーダーの実施、
    必要な対応の提案
  • 副作用の重篤化回避や治療に難渋する患者への対応について、医師との協働のもと処方提案や処方
    設計を分担
  • 高度な医療判断に備えた医薬品情報の収集・評価・活用などの実践

といったさまざまなシーンにおいて、その役割と有用性を発揮し活躍しています。
さらに、平成24年度診療報酬改定では、「病棟薬剤業務実施加算」100点が新設されました。これは薬剤師が病棟において、「医療従事者の負担軽減及び薬物療法の質の向上に資する薬剤関連業務を実施している場合」に算定するもので、病院薬剤師にとっての大きな期待感の表れとも言えます。
※専門薬剤師の分野別詳細は病院②をご参照ください。

薬局薬剤師との連携

大学病院などでは医療の連携を進めるために、クリニカルパス(診療スケジュール)を院内だけでなく、門前の調剤薬局との連携ツールとしても活用しています。医療をチームで行う仕組みの中で、病院薬剤師と在宅医療の患者を支える薬局の薬剤師とのシームレスな連携も、重要な役割として望まれています。

病院薬剤師の採用事情

病院・診療所の薬剤師採用は定期採用よりも欠員募集が多いことが特色ですが、平成24年度診療報酬改定で「病棟薬剤業務実施加算」100点が新設されたことによって、新卒採用の活発化と就職者の増加が見られました。
しかし、この傾向が今後も続いていくとは限りません。また、病院は規模・種類によって、職務内容や雇用形態、待遇なども異なります。したがって、病院薬剤師を目指す人は、常に大学内の求人票をチェックする習慣を心がけ、就職部(課)などにも積極的に相談されることをお勧めします。 

薬剤師レジデント制度

薬剤師レジデント制度は、医療施設での講義や実務実習を通じて、チーム医療や臨床薬剤師業務を実践できる薬剤師を養成することを目的に発足した制度です。大学卒業後に病院などの医療施設で薬剤師として働きながら研修を受講し、専門知識や技能、チーム医療での他職種との連携に必要なコミュニケーション能力を習得します。
研修は大体2年間で、回診や症例カンファレンスなどを間近で体験することで疾病に対する理解を深め、その他にも薬剤管理指導業務、病院薬局業務全般など、より現場に即した実務を身に付けていくことが特徴です。
ここ数年、卒後臨床研修として同制度を採用する医療機関が増えてきています。指導体制は、がん、感染制御、精神科薬物療法、緩和薬物療法、栄養サポートチーム(NST)、糖尿病などの専門認定を受けた薬剤師が在籍している医療施設が多く、その専門性が薬剤師教育に活用されています。

病院 ②

病院薬剤師の仕事を紹介

医療環境が高度化・複雑化していく中で、臨床現場での仕事に従事する病院薬剤師の役割もますます重要になってきています。病院での実務実習に参加してそれを体感している人も多いのではないでしょうか。
医療に従事する薬の専門家として、常に安全で有効な薬物治療を実践していく仕事に、大きな注目が集まっています。実習経験を活かす場面も少なからず出てくることでしょう。

調剤・製剤
処方せん内容に基づいて、飲み合わせ・副作用・量・服用方法などをチェックして、調剤を行います。薬は製薬会社で作られたものを調剤するのが一般的ですが、必要に応じて軟膏・坐薬・注射薬など、病院独自の医薬品を製剤する場合もあります。
服薬説明(外来・入院)
外来や入院患者に、正しい薬の使用法・効果・注意点などの服薬説明、及び副作用や相互作用などの安全面のチェックを行います。また、医薬品に関する質疑にも的確に対応し、患者の不安を取り除いてより効果的な薬物治療に努めることも大切な役目です。
注射薬の調剤・供給
処方せん内容に基づいて、投与量・経路・速度・期間、さらに混合して使用する場合での相互作用による薬効の変化のチェックを行い、注射薬の調剤を行います。注射薬は一般的に効果が強く、使用上の注意と安全面への配慮が求められます。
薬歴管理
複数の診療科にかかっている場合、それぞれの処方内容が適切であっても一緒に服用することで相互作用が起こる可能性もあります。したがって、これを未然に防ぐために、薬物療法における情報を集約し、薬歴を管理することが必要です。
カンファレンスへの参加
入院患者の治療にあたっては、薬剤師が医師・看護師・その他の医療スタッフとともに、チームの一員としてカンファレンスに参加します。最近では、緩和ケアチーム、感染対策チーム、栄養サポートチーム、褥瘡チーム、安全管理チームなどで活躍する薬剤師も多くなっています。また、処方設計に参加するケースも見られ、安全で効果的な薬物療法を医師とともに組み立てていきます。
医薬品情報の管理・提供
医薬品の使用に際して薬剤師は、情報の収集・整理・保管・評価・提供を行っていきます。また、医師や看護師からの医薬品に関する質疑への対応、製薬企業や厚生労働省をはじめ、各種の文献・資料から鮮度の高い情報を収集し、それを治療の現場に役立てていきます。
医薬品の管理と供給
病院内において、医薬品の購入と保管、各部署への供給と一貫した管理を行うのも、薬のプロフェッショナルである薬剤師の重要な仕事です。とくに品質の管理(温度、湿度、光)には万全を期した対応が求められます。

専門薬剤師の資格取得にチャレンジ!

専門薬剤師は、医師の負担を分散し安全で安心できる薬物療法を患者に提供するために、薬剤師が高度な知識とスキルを活用していく認定資格。病院薬剤師にとっては注目のキャリアアップの手段であり、取得の奨励が推し進められています。現在では、以下の分野での専門薬剤師が、一般的な認定資格となっています。

病院薬剤師の6つの専門分野

がん専門薬剤師
がんの治療にあたって、患者に合った抗がん薬の選択支援や副作用への対策を受け持ちます。抗がん剤の調製をはじめ、既存の治療法の改善や新たな治療法の開発にも携わり、チーム医療の一員として疼痛緩和や完治を目指していく役割を担います。
感染制御専門薬剤師
疾患を抱えている患者が抵抗力を奪われて感染症を併発するケースも多く、エビデンスに基づいてそれを回避・治療していく役割を担います。抗菌薬の使い方や感染管理、感染経路対策など、薬物治療の適切かつ安全な実施に貢献していきます。
精神科専門薬剤師
統合失調症、うつ病、神経症などの精神疾患に対する薬物治療において、高度な知識・技術と多くの臨床経験を持って、精神科薬物治療が安全で適切に行えるように、患者の入院中の治療から退院後の社会復帰までをトータルに支えていきます。
妊婦・授乳婦専門薬剤師
妊娠・授乳期の薬に関する高度な知識、技術、倫理観・臨床経験を持って、この時期に特有な母体の変化と有害作用を考慮した薬物療法を担当。医師と連携して、母子双方にとって安全で適切な薬物療法とカウンセリングを実施していきます。
HIV感染症専門薬剤師
HIV感染症治療の薬物療法に関する高度な知識・技術・倫理観・臨床経験を備え、患者の意思を尊重し、最適な治療に貢献します。HIV 感染症の病態・医薬品の薬理作用・体内動態などを十分に理解し、有効で安全な薬物療法を実施していきます。
NST(栄養サポートチーム)専門薬剤師
NSTの一員として栄養に関する十分な知識を備え、静脈栄養の無菌調整及び適正な管理、さらに静脈栄養剤や経腸栄養剤の特徴をNSTの他のスタッフに情報提供することで、患者のニーズと期待により的確に応えられる薬物療法を実現していきます。

まだある!薬剤師が目指す資格〈 糖尿病療養指導士〉

糖尿病とその療養指導全般に関する正しい知識を備え、医師の指示のもと、患者に熟練した療養指導を行うことができる医療従事者を対象に与えられる資格。薬剤師、看護師、管理栄養士、臨床検査技師、理学療法士の資格を有する者及び准看護師、栄養士の資格を有する者が対象で、生活習慣病対策が叫ばれる現代において、取得へのニーズが高まっています。

その他(MS、卸、自治体など)

医薬品卸業界の役割と動向

医薬品の安定供給を実践

医薬品卸は医薬品流通業務を担い、医療機関に対して専門的な知識を駆使して速やかな情報提供と、適正かつ安定的な医薬品供給を実践していきます。複数の製薬企業の医薬品を取り扱い、医療機関に対して薬の価格交渉を含めた営業・販売を行う主要業務の一方で、近年においては院内業務の効率化や経営に関するコンサルタント事業などの幅広いサービスも展開するなど、さまざまな課題解決のパートナーとしての役割も果たしています。
顧客ニーズを満たしていくうえでの業務の特性として、「特定の製薬企業や疾患領域に偏らず、全カテゴリーを網羅できる仕入れ戦略」「卸機能を発揮するための売上規模の確保」「顧客支援機能の発揮」「高度な情報提供」「物流機能の充実」「財務体質の強化」といった側面が強く求められることから、2000年以降は大手企業を中心にスケールメリットを追求した、卸業界の再編も起きています。

医薬品卸の業務内容とMS・薬剤師の活動 医薬品卸の業務内容とMS・薬剤師の活動

医薬品の物流を担うMS

MS(Marketing Specialist)とは医薬品卸の営業職と位置付けられ、医療機関の医薬品の物流と納入価格の交渉などを担う仕事です。病院や診療所、調剤薬局などからの注文に対して医薬品を届けることが日常業務となりますが、急遽特殊な薬剤の発注を受けて速やかに対応していくケースも求められるなど、通常のルート営業に限らず、緊急時の対処をどれだけ正確かつ迅速に行っていけるかがポイントとなります。そしてそれは、患者の生命を救うことにもつながる重要な仕事と言えます。
また、MSは医療関係に従事するさまざまな職種と接することも特徴で、MR、医師、薬剤師だけでなく事務スタッフも含めて、情報交換・収集、情報提供・伝達を頻繁に行い、より良い医薬品の安定供給に努めていきます。
さらに、近年においてはこれらの業務に加えて、経営コンサルタントとしての能力を求められるMSも増えてきています。医療崩壊が叫ばれる昨今においては経営が困難な医療機関もあり、薬剤の選択や在庫の管理、診療報酬の請求などについても助言を求められることがあります。そのような時に的確なアドバイスを提供できることも、MSの大切な役割です。

薬剤師も専門性を発揮

医薬品卸では数多くの医薬品を取り扱うため、MSに加えて薬剤師も活躍しています。主な役割は品質・安全性・有効性の確保、病院・薬局に対する公平な医療情報の提供、MSの支援といったもので、疾患・医薬品に関する多くの情報を扱います。特定の医療情報に偏ることなく、薬剤師として幅広い知識を活かせるというメリットがあります。

公務員・その他の職域と役割

公務員には国公立病院で働く薬剤師の他にも、県や市町村などの保健行政にかかわる環境衛生監視員や食品衛生監視員、厚生労働省所管の麻薬取締官、自衛隊の幹部職員となる薬剤官など、さまざまな職域があります。これらの職種に就くためには、薬学分野での公務員試験に合格することが必要です。

厚生労働省医薬食品局(国家公務員Ⅰ種)
医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器の有効性・安全性の確保対策、新薬開発に関する治験から承認審査の実施、市販後調査の管理、医薬品の副作用・相互作用情報の国内外からの収集、血液事業や麻薬・覚せい剤対策など幅広い業務を担当します。
厚生労働省健康局(国家公務員Ⅰ種)
保健所などを通じて感染症や糖尿病、がんなどの生活習慣病対策を担当。エイズ・インフルエンザ・結核など各種感染症予防のための指針づくり、また臓器移植関連行政など、医療の最前線の仕事にも深くかかわります。
麻薬取締官
厚生労働省の麻薬取締部に所属し、薬物犯罪にかかわる捜査・情報収集活動、医療上有用な麻薬や向精神薬の流通経路の監視(定期的に病院、薬局、製薬会社などに立入検査)、正規流通経路からの横流しや不正使用を防止するための指導と助言、薬物乱用者の家族や友人からの相談業務などを担当。また各種学校や関係機関での講演、さらに薬物乱用防止啓発活動も官民一体となって行っています。
自衛隊薬剤官
陸・海・空の3自衛隊の薬剤師は「薬剤官」と呼ばれ、幹部自衛官として勤務します。薬剤師として自衛隊内の衛生業務全般、研究開発などを担当。指揮官としての教育訓練も受けます。自衛隊病院・衛生科部隊・補給処が主な職場になります。
科学捜査研究所
都道府県警察本部の主に刑事部に設置される公的研究機関で、科学捜査の研究・鑑定を行います。「科捜研(かそうけん)」とも呼ばれ、事件や事故の現場に出動し、現場検証や資料採取、DNA型・血液の生物系資料の鑑定・検査・研究を行い、犯罪の立証や事故原因の究明に取り組みます。
保健所の環境衛生監視員
理容所・美容所やクリーニング所の確認業務、ホテルや公衆浴場・映画館などの許認可業務での新規出店の申請相談、書類確認、設備などの現地確認を担当。また、特定建築物の衛生管理や水道法に関する業務、プールの監視業務やダニなど衛生害虫についての相談業務も担います。
保健所の食品衛生監視員
日々の健康や安全を守るために、全国の主要な海・空港における輸入食品の安全監視及び指導業務、輸入食品などにかかわる理化学的・微生物学的試験検査業務、全国の主要な海・空港における検疫感染症の国内への侵入防止に努める検疫衛生業務などを担当します。
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