めでぃしーんねっと2021

CRO・SMO

治験業務の役割と動向

新薬開発に欠かせない重要な業務

新薬が開発され上市に至るまでには、実際に患者や健康な人に投与して有効性・安全性を確認する「治験」というプロセスが必要です。治験は薬事法とGCP(Good Clinical Practice:医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令)という世界共通基準のルールに則って行われます。被験者の人権や安全を守りながら治験の質と信頼性の高いデータを確保することが重要で、それらの業務の一翼を担うのが、CRO(Contract Research Organization)とSMO(Site Management Organization)です。
現在、日本国内では海外ですでに承認されている薬が使用できない「ドラッグ・ラグ」が問題視されています。そのため、製薬会社の中には治験環境がより整った欧米に開発拠点を移設したり、治験自体を外国で実施しようという動きもみられ、国内での治験の空洞化も懸念されています。
その背景にあるのが、日本と欧米の異なる治験事情です。欧米に比べて日本には治験業務に携わる専門スタッフが少ないこと、患者へのメリットが明確でないため被験者の数を確保しにくいこと、病院と製薬会社との関係が不明瞭といったことが、以前から指摘されています。しかし、医療の現場では新薬の誕生を待ち続ける人たちが多数存在し、国際的に通用する治験環境の整備が求められています。そこで重要な役割を果たすのがCROとSMOです。明日の新薬開発をよりスピーディに、より確実に実現していくうえで、治験業務に必要不可欠な存在であるCROとSMOに大きな期待が寄せられています。

治験業務の流れ(CROとSMOの活動内容) 治験業務の流れ(CROとSMOの活動内容)

治験業務の一翼を担うCROとSMO

CROは製薬企業からの依頼を受けて、臨床試験から販売後調査までのさまざまな業務を代行・支援する医薬品開発業務受託機関です。臨床試験が関連法規や実施計画書に則って正しく実施・記録・報告されているかをはじめ、協力を得ている被験者の人権・安全・福祉が保護されているかを保証するモニタリング業務、臨床試験などによって集積された被験者のデータを科学的かつ倫理的に処理するデータマネジメント業務・統計解析業務、厚生労働省への承認申請のために必要な書類・論文を作成するメディカルライティング業務、その他に臨床システム業務や製造販売後調査など、広範多岐にわたる業務を製薬企業から受託して実施していきます。
一方、医療機関(病院)の治験業務を支援するのがSMOです。医療機関の治験実施施設と契約し、専門知識を持ったスタッフを派遣して、GCPに則った適正で円滑な治験が実施できるように、各種の煩雑な業務をサポートしていきます。治験に関わる医師や看護師、事務スタッフの業務を支援することで負担を軽減し、治験の品質とスピード向上を目指します。

治験業務の職種と仕事内容

明日の新薬を生み出す治験には、さまざまな疾患や新薬の知識を得られ、広い視野で物事を捉えられるようになると同時に、薬剤師としての知識を活かす場面もたくさんあります。新薬の登場を待ち続ける多くの患者に貢献できる仕事としての魅力があり、また、それが実現された時には、格別なやりがいと達成感を味わうことができます。

CRA(臨床開発モニター)の主な仕事内容

モニタリング
臨床試験が関連法規や実施計画書に則って正しく実施されているか、被験者の人権や安全が保護されているかをチェックする業務。さまざまな背景から被験者の心情や気持ちを読み取って、サポートしていくことも必要です。治験を担当する医療機関の医師に対して、臨床試験にかかわる事項全般(目的・方法・デザイン・統計学的な考察、組織・責任体制など)を記載した実施計画書の説明を行い、臨床試験の進捗状況も確認し、症例報告書の記入依頼・回収・精査まで担当します。
データマネジメント・統計解析
臨床試験で集積された症例データを精査・集計・解析する業務。臨床試験で回収された症例報告書のデータ管理、また統計解析計画の立案から実施、さらにその計画書や報告書の作成を行います。
メディカルライティング
薬事法やGCPなどのガイドラインを遵守して、臨床試験と承認取得に必要な各種申請書類・報告書・論文の作成を行います。
臨床システム
臨床試験(モニタリング、データマネジメントなど)についてシステムを使用して、業務効率化・データの質の向上を図ります。
製造販売後調査
製造販売後、安全性・有効性に関する一連のリサーチ業務を実施していきます。

CRC(治験コーディネーター)の主な仕事内容

治験業務をトータルサポート
別名、治験コーディネーターとも呼ばれ、治験を実施する医療機関と提携して治験業務をトータルに支援します。被験者に対するインフォームド・コンセント(説明と同意)や同意書への署名、不安や心的負担を軽減するためのケア・サポート、治験薬や治験データの管理、症例報告などの記録作成、来院日や検査などの管理、担当医師のサポートといったさまざまな役割を担います。CRCには、SMOに所属して医療機関へ派遣されるスタイル以外に、医療機関に薬剤師として所属し業務に従事する「院内CRC」もあります。
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