めでぃしーんねっと2021

調剤薬局 1

調剤薬局業界の市場推移と動向

調剤医療費は年々上昇

医薬分業の目的は、医師が患者に処方せんを交付し、保険調剤薬局の薬剤師がその処方せんに基づいて調剤を行うことで、医師と薬剤師がそれぞれの専門分野で業務を分担して、国民医療の質的向上を図ることにあります。
病院が薬局機能を院外に出す医薬分業の推進によって、現在では医薬分業率は7割を超え、私たちの生活に定着しつつあります。疾患を抱える患者が病院や診療所を訪れて治療を受けた後には、入院や特殊な場合を除いて、保険調剤薬局で医師の処方せんに基づいて薬を受け取るという、院外処方が一般的なスタイルとなっています。そして、厚生労働省令では、処方せん40枚当たりに1人の薬剤師の配置基準を義務付けています。
では、この保険調剤薬局を取り巻く市場や環境は、近年においてどのような推移と動向を示しているのでしょうか。下の図を見てみましょう。
2018年度の調剤医療費は、7兆4千億円を超えています。また、処方せん枚数は年々増加していて、全国の薬局数も約5万9,000店となっています。調剤薬局は、より高度な医療サービスを行う場として、社会に根強く浸透しています。

医薬分業率(%)(全国平均) 調剤医療費(億円) 処方せん枚数(万枚) 医薬分業率(%)(全国平均) 調剤医療費(億円) 処方せん枚数(万枚)

かかりつけ薬剤師制度がスタート

2016年度診療報酬改定の大きな柱の一つとして、地域包括ケアシステムの推進に伴う「かかりつけ薬剤師」制度がスタートしました。この制度は、患者に指名された薬剤師が服用する薬を一元的・継続的に管理していくもので、処方元の医師とも連携して報告・相談を行い、危険な飲み合わせや重複・過剰投与による無駄を防ぐことなどを目的としています。24時間体制で相談に応じ、必要に応じて患者宅を訪問して残薬の整理も行います。
患者がかかりつけ薬剤師を希望する場合は、薬局で国が定める一定の要件をクリアした経験豊かな薬剤師の中から1名を指名。同意書に署名した後に、専任担当のかかりつけ薬剤師が決定し、具体的な活動がスタートします。
患者にとってより良質なサービスを受けられる制度として、調剤薬局の新たな取り組みと薬剤師の職域拡大に大きな期待が寄せられています。

かかりつけ薬剤師の要件

●薬剤師として3年以上の薬局勤務経験があり、その薬局に週32時間以上勤務しているとともに、半年以上在籍していること。
●薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定を取得していること。
●医療にかかわる地域活動の取り組みに参画していること。(地域の行政機関や関係団体等が主催する講演会、研修会等への参加、講演等の実績)

かかりつけ薬剤師・薬局が持つべき3つの機能

1. 服薬情報の一元的・継続的管理
●患者がかかっているすべての医療機関や服用歴を一元的・継続的に把握し、薬学的管理・指導を実施。
●お薬手帳の一冊化・集約化を実施。

2. 24時間対応・在宅対応
●開局時間外での電話相談、夜間・休日での在宅患者の症状悪化の場合の調剤を実施。
●地域包括ケアの一環として在宅対応にも積極的に関与。

3. 医療機関等との連携
●処方医に対して疑義照会や処方提案を実施。
●調剤後も処方医へのフィードバックや残薬管理・服薬指導を実施。
●各種相談に対応し、医療機関への受診勧奨や地域の関係機関と連携。

調剤薬局のさまざまな店舗形態

門前・門内・面分業薬局

調剤薬局には、「門前」「門内」「面分業」というさまざまな店舗形態があります。 門前薬局は国立病院・自治体病院・大学付属病院から中小の病院・診療所の門前で、複数の調剤薬局が処方せんを応需する形態です。門前薬局の中には、チーム医療や先進医療の一環として病院薬剤部との連携なども行われています。
また、薬局と医療機関の独立性をめぐる規制が一部緩和され、医療機関の敷地内に薬局を開設することが可能となり、大学病院や公立病院を中心に敷地内に薬局を誘致する、門内(敷地内)薬局出店の動きが活発化しています。これは患者の利便性を考慮した動きではありますが、かかりつけ薬局の推進に反するという意見もあります。
一方、面分業薬局は、地域において多数の調剤薬局が、不特定の病医院からの処方せんを応需する形態を言います。たとえば、患者が通院の帰りに自宅近くの調剤薬局を訪れたり、あるいはショッピングセンターに買い物に出かけた際に、その周辺の調剤薬局に処方せんを渡して薬を受け取るというスタイルです。
面分業の一環として、開業医に呼びかけて医療モールを開設する企業もあります。調剤薬局と内科や皮膚科、耳鼻科など診療科目が異なる複数のクリニックが一体となった医療モールを展開することで、処方せんを確保しようというのが狙いです。
そのほかに、ドラッグストア業界の調剤併設型店舗の積極的出店、調剤薬局とコンビニエンスストアとの融合による新業態店舗の開設、大手調剤薬局チェーンの24時間営業の店舗展開、大手家電量販店など異業種からの調剤事業への参入も見られ、面分業の進展を背景に調剤薬局業界及び他業界も含めた各社のさまざまな取り組みが進んでいます。
「門前」「門内」「面分業」薬局では、集中率によってそれぞれ調剤基本料が異なります。病院の敷地内や門前にあることで比較的患者が集中しやすく、効率的な経営が可能な薬局は調剤点数を下げて、一方街中にある面分業薬局は門前・門内薬局よりも高い点数が付けられています。このように薬局の立地や処方せんの応需回数によって点数が異なるため、各社の経営戦略により判断がわかれるところです。

門前型 面分業 医療モール

調剤薬局 2

調剤薬局で働く薬剤師の仕事

店舗での一般的な薬剤師の仕事

調剤薬局で働く薬剤師の店舗での仕事内容は、患者の処方せんの応需と内容確認から始まって、調剤業務、服薬指導、薬剤の交付といった一連の業務に沿って行われます。店舗の規模によって薬剤師の配置数は異なりますが、患者の安全性を重視した正確さと待ち時間の短縮を念頭に置いたスピーディな業務が求められます。

調剤薬局店舗での薬剤師の仕事の流れ 調剤薬局店舗での薬剤師の仕事の流れ
処方せん応需・確認
患者から処方せんを受け取り、記載事項をしっかりと確認します。
薬歴(前回処方)の確認
過去に来局した患者の場合、薬剤服用歴(薬歴)を見て前回の処方と今回の処方を比較して問題がないか確認します。
調剤
医師の処方内容に基づいて正確な調剤を行っていきます。個々の患者ごとに必要に応じて、一包化・分包化・錠剤の粉砕なども行います。
鑑査
調剤された薬が処方せんの指示通りで誤りがないかを確認します。調剤過誤を防止するうえでも大変重要な業務であり、もし処方内容に疑問が生じた場合は、医師に対して速やかに疑義照会を行います。
服薬指導・薬剤の交付
患者に安全で有効な薬物療法を提供するために、服用方法、保管方法、薬効、副作用、相互作用など、薬の専門家として指導と助言を含めた情報提供を行い、薬剤を交付します。また、これらの情報提供は、薬剤師にとっての義務でもあります(薬剤師法第25条の2)。そして、患者のニーズにしっかりと応需していくためにも、薬剤師には医療者としての知識やスキルに加えて、「コミュニケーション能力」が重要な要素として求められます。
調剤報酬の算定
健康保険法に基づいて調剤報酬の算定を行います。
薬歴の記録・調剤録作成
患者の応需内容を薬歴に記録し、次回来局された場合の服薬指導などに役立てていきます。また、薬剤師が調剤を行った証拠として、調剤録を作成します。

在宅医療にかかわる薬剤師の仕事と役割

医療費の抑制を目的とした療養病床(病院や診療所のベッド)数の減少と、自宅で治療を望む患者への対応として、「在宅医療」のニーズが高まっています。
2012年度診療報酬改定では、超高齢社会に向けて、急性期から在宅、介護まで切れ目のない包括的なサービスを提供するための「医療と介護等との機能分化や円滑な連携、"在宅医療"の充実」が掲げられました。施設または個人の患者を対象に訪問する在宅医療は、調剤薬局で働く薬剤師にとっての業務として、浸透しつつあります。
在宅医療は医師、看護師、ケアマネージャー、そして薬剤師が緊密に連携し、「チーム医療」として一体感を持って患者本人とその家族を支えていきます。チームの中で薬剤師は、医師や看護師と違って直接患者の治療に携わることはほぼありません。しかし、患者の服薬状況や相互作用・副作用を把握し、疑義照会を含めて、薬にまつわる正確な情報をチーム内で共有していく重要な役割を担い、カンファレンスにも積極的に参加します。
また、在宅医療にかかわる薬剤師は薬に関することにとどまらず、療養生活を支えていくことも大切な任務です。患者の生活に密着し、より近い立場で服薬状況や体調の変化をダイレクトに感じて、薬剤師としてどのようなサポートができるかを考え、実行していくことが求められます。
終末期医療に立ち会い、患者の最期を看取ることで、悲しい現実に向き合わなければならない場合もあります。しかし、このような現実をしっかりと受け止めて、死生観を学んでいくことも、医療人である薬剤師として成長していく上で必要な出来事と言えます。
その他にも、大病院の門前薬局での医師・看護師や他の医療従事者との連携、あるいは薬剤部との連携、さらに先進医療へのかかわりとして無菌調剤やハイリスク薬の取り扱いなど、調剤薬局で働く薬剤師の守備範囲と活躍のフィールドは、ますます広がっています。

在宅医療(チーム医療)での薬剤師の役割 在宅医療(チーム医療)での薬剤師の役割

薬剤師のキャリアアップ

  • 調剤薬局での実務実習経験を就職活動に活かして、実際に調剤薬局に就職して活躍している先輩たちもいます。ただし、各社によって企業規模・社風・仕事のスタイルなどは、それぞれ特色があるので、進路を見極める上では幅広い視点で企業研究をすることが大切です。
  • 調剤薬局で働く薬剤師は実務経験を重ねるにしたがって、管理薬剤師、薬局長、店長、エリア単位で店舗を統括するブロック長などへと、キャリアアップの道を歩んでいきます。
    (※総合職、専門職など、各社によってキャリアアップのスタイルは異なります。)
  • 知識・スキルを向上していくために、研修認定薬剤師や漢方薬・生薬認定薬剤師(日本薬剤師研修センター)、認定薬剤師(薬科大学が開講する生涯研修認定制度、社内でのe-ラーニング)などの各種資格取得も奨励されています。
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