めでぃマガ2021
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●オーダーメード医療個々の患者の症状や体質にあわせた治療を目指す「オーダーメード医療」が近年注目されています。自分の体型や好みに合わせてスーツを仕立てることをオーダーメードと言いますが、医療の世界でも同じような考え方を取り入れていこうとする動きが見られます。患者の疾患は千差万別なため、オーダーメード医療では一人ひとりに最も効果的な薬の種類や副作用を起こさない分量を判断し、調整したうえで処方を行うことを目的としています。その判断基準となるのが「遺伝子情報」です。人間の遺伝子情報(ゲノム情報)を解析することによって、その人に合った薬の種類や適正な分量の把握が可能で、薬物治療において高い効果が期待されています。ノバルティス社が開発し、2019年に承認された白血病や悪性リンパ腫の治療薬「キムリア」は、遺伝子改変技術を用いたオーダーメード医薬品の一つです。キムリアは「CAR-T細胞療法」と呼ばれる最新のがん免疫療法に使用されるもので、まず患者の血液を採取して、細菌感染した細胞やがん細胞などを攻撃する免疫細胞(キラーT細胞)を取り出し、遺伝子操作の技術を使ってがん細胞を捕らえる力や攻撃する力を高め、再び患者に投与してがん細胞を死滅させていく仕組みを持っています。がんが消失した例も報告されており、標準的な治療法の効果が期待できなくなった白血病や悪性リンパ腫の患者にとって福音ではありますが、一方で重篤な副作用が起きる恐れもあると言われています。また、1回の投与で3,000万円を超える高額な薬価にも驚きと注目が集まりました。厚生労働省は今年、公的医療保険の適用を決定しましたが、医療保険財政に影響を与えるのではないかと不安視する声もあります。オーダーメード医薬品は、患者一人ひとりのニーズにあわせてつくるために高い製造コストが発生しますが、医療の進歩とともに今後も高額な新薬が増えていく中で、限られた医療保険財政を視野に入れながら、個々の患者が求める医薬品を的確に届けられるかが、重要な課題と言えます。製薬業界の仕事を紹介【MR職】●MRは医薬情報担当者MRとはMedical Representativeの頭文字をとったもので、医薬情報担当者のことを言います。MRの主な仕事内容は、自社製品の営業活動を通じた情報伝達、患者への投与後の薬効・副作用・相互作用の情報収集、製品のクレーム処理、自社開発部門が行っている治験への協力などを担当します。自社の医薬品に関する情報を正しく医療関係者に伝え、効果的な使用によって患者の治療に役立てていくことを最終目的としています。また、医薬品メーカーの中には医療用医薬品を専門に取り扱うMRとOTC医薬品を専門に取り扱うOTC-MRに担当領域を分けているケースもあり、後者の場合はドラッグストアを得意先とした活動に従事していきます。MRはドクターにとってもっとも信頼できるパートナーと言われますが、これまでに紹介してきた業務を担当することから、「医薬に関する優れた知識」と「コミュニケーション能力」が大切な要素として求められます。遺伝子情報遺伝子情報からその人に合った薬や分量を予測して行う治療19

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