たとえば、医薬品メーカーのMRを志望している人がインターンシップ・セミナーでMR同行を体験していく中で、予想していた以上に、最前線で活躍するMRという職種に魅力を感じたり、あるいは抱いていたイメージが異なった場合には再度進路を見直すきっかけになる等、就業体験を通してこそ得られるさまざまな発見があります。
病院、保険(調剤)薬局、ドラッグストア、医薬品メーカー、治験(CRO)、卸、官公庁、自治体…、薬学部出身者の就職先進路は実に多彩です。様々な業界の就業経験を通して業界の特色や企業そのものへの理解を深め、実務実習では得られない体験ができます。
インターンシップ・セミナーには、他大学の薬学部や他学部の学生も多く参加します。グループワークや、共同で行うワークショップを通じ、他大学の学生との交流や情報交換を行うことによって、他の学生の就業意識に刺激を受けたりできる大切な機会となります。
選考過程においてもっとも重要視される『コミュニケーション能力』。基本は同じでも、業界・企業・職種によって具体的に求められるものはさまざまです。医療従事者に必要なコミュケニーション能力とは何か。インターンシップ・セミナーは、その答えを学ぶ大切な機会です。
インターンシップ・セミナーは、病院や保険(調剤)薬局で学ぶ実務実習とは異なります。それぞれにおいて重要性や特徴がありますが、この両方を経験することで医療人に必要な基礎をしっかりと身につけることができます。たとえば、保険(調剤)薬局のインターンシップ・セミナーに参加する場合、実務実習と別の企業(店舗)での業務を体験することで、そこで働く人・仕事のスタイル・社風など個々の違いがわかります。また、医薬品メーカーやCROのインターンシップ・セミナーに参加すれば、病院や薬局との違いを知ることで視野も広がります。そして、このような知見を広めることが、いずれ訪れる就職先を決定する際のミスマッチ防止にも大いに役立ちます。
以前は現役MRの同行が多かった医薬品メーカーのインターンシップ・セミナーですが、コロナの影響で現在は先輩社員の同行や医療機関訪問はほとんど実施されていません。現在は学生同士のグループディスカッションやグループワーク、もしくはMRや開発職の模擬体験などが多いようです。他大学の文系学生や理系学生も参加するので、彼らの視点から見た医薬品業界やMR職、薬学生としての強み・弱みを肌で感じることができるのもメリットです。ESの提出や面談といった選考がある場合、事前に対策が必要です。
大学の授業や就職情報だけではなかなか理解しづらい治験業務。インターンシップ・セミナーでは、モニタリング・データマネジメント・統計解析などの各業務を模擬体験やロールプレイを通じて体験することで、治験全体の業務の流れや全体像を具体的に理解していくことができます。またそれに伴い、高度な専門知識やコミュニケーション能力が求められることも実感できます。CRA業務での実施医療機関の選定、安全性情報の提供、有害事象の問い合わせ、逸脱発生などのロールプレイを見学できるのも、インターンシップ・セミナーならではの機会といえます。
臨床現場での直接的な仕事に従事する病院薬剤師。チーム医療の一員として医師や看護師と緊密に連携を図り、患者様のケアとQOL(生活の質)向上に努めていく職能を先輩薬剤師の姿から体感できるのが、病院のインターンシップ・セミナーに参加する醍醐味と言えます。患者様の入院時の面談から外来調剤、注射・点滴調剤、服薬指導などを体験。入院時の面談では、先輩薬剤師が患者様の処方せんを見てどういう経緯で入院したのかを読み取り、何を質問すべきかを考えた上で、実際に面談に臨んでいるのかを学ぶことができます。
患者様の身近な存在として地域医療を担うのが保険(調剤)薬局の薬剤師です。一つの会社の中でも、病院の門前薬局から地域の面分業薬局までさまざまなタイプの店舗が存在します。そのような複数の店舗を訪れてみると、患者様のニーズを第一に考えた姿勢、薬剤師の動線を考えた店舗づくり、調剤過誤防止への取り組みなどの特徴を目にすることができます。在宅医療として介護施設訪問や医師の往診同行などの薬剤師の仕事以外にも、本社機能の見学や体験など、『企業』としての保険(調剤)薬局や調剤業務にまつわる周辺の仕事の存在までも認識できる貴重な機会です。
[1日間の場合]
オリエンテーション、調剤体験、グループワーク(調剤過誤について)、まとめ
[3日間の場合]
ここ数年、調剤併設店舗数の大きな伸びによって注目が集まるドラッグストア。スイッチOTC薬も増えていく中で、OTC医薬品と医療用医薬品の両方を熟知し、さらに日用品全般まで取り扱い、お客様や患者様の多様なニーズに対応する守備範囲の広い薬剤師とはどのような人たちなのか。先輩社員に密着することで、その職能が明らかになります。普段、何気なく訪れているドラッグストア。しかし、そこで働く薬剤師の心構え、接遇、お客様や患者様の表情・しぐさから俊敏に状況を察知するコミュニケーション能力は必見です。
[1日間の場合]
オリエンテーション、開店準備体験、品出しゲーム、調剤体験、OTCカウンセリング体験、まとめ
[3日間の場合]
公務員として働く薬剤師の職域は、厚生労働省、麻薬取締官、自衛隊薬剤官、科学捜査研究所、地方行政、保健所など…、国家公務員から地方公務員まで実に多彩です。そして、その根底に共通してあるのは、薬事・食品・生活衛生面などに深くかかわる薬のプロフェッショナルとして、『国民の安全で安心できる生活を守っていく』という使命感です。公務員に対する世間一般のイメージには安定性が強調される傾向がありますが、インターンシップ・セミナーに参加すると、それ以上に大切な何かを感じ取ることができるはずです。